今日のゲストはテンペラ画家のブラウニーお姉さま(30歳)よ!
<天麩羅画と呼ばないで!>てつこ(以下T)
テンプラ画っておいしそうな名前。あたしテンプラだいすきっ!
ブラウニー(以下B)
テンプラ画は170℃でカラッと揚げるのがコツ…って、ちがいますっ!「天麩羅画」ではなく「テンペラ画」です。しょっちゅう間違われるんですよね。「テンペラ画」ですって言ってるのに5秒後には「天麩羅画」になってたり…「この人ワザと間違えてる?」って思っちゃうことも。

T
あたし、テンペラ画大好き!
B
そうそう。
T
美味しそう〜
B
違いますって。意外にしつこい人ですね。てつこさんは…
テンペラは「混ぜる」って意味の「テンペラーレ」(ラテン語)からできたコトバで、油絵なんかが発明される前の13〜14世紀ごろのヨーロッパで使用されていた絵画手法です。卵の黄身と水で顔料を溶いて描くんです。卵の黄身が空気に触れるとタンパク質が固まって顔料を定着させるというわけ。昔は宗教画が中心だったんだけど、今はなにを描いてもいいんです。
江國香織&辻仁成の『冷静と情熱の間』で主人公の青年がイタリアで学んでいたのがテンペラ画なんですよ。
T
冷静と情熱の間!!
B
そうなんです。
T
つまり、フツーってこと? 「冷静」と「情熱」の間だもんね。
B
・・・・・・
<ゴキブリは聖なる絵がお好き>T
「テンペラ画は卵を使用する」ってことは…その卵は腐ったりしないの?
B
腐りますよ。腐るし、湿気の多い場所だとカビが生えます。
ゴキブリもかじるし、犬が舐めることもあるし。
T
あたし…もう帰っていい?
B
ここはあなたのお家でしょ。てつこさん。
T
はいっ!
B
絵の上にニスをかけると大丈夫ですよ。でも、ニスをかけ忘れたり、しばらく放置しておくと、ゴキブリにかじられちゃうこともあるんです。
卵は傷みにくいように、新鮮ないい卵を使うようにしてますけどね。
『ヨード卵 光』なんかオススメですね。T
卵黄を使った残りの白身の部分はどうするの?
B
もちろん食べますよ。料理には自信があります。
<余は如何にしてテンペラ画家となりしか>T
テンペラ画は昔から描いてたの?
B
小さいころから絵は大好き。私は0歳のときから絵を描いていました。で、絵の教室に通ったりして、中学高校は美大付属でした。でも高校生のときに画家として生活していくのは非現実的な気がしたんです。それで漫画家になりたいと思ったんです。
T
あら、漫画家って面白そうね。
B
だけど、漫画家は諦めました。
ストーリーがひとつも浮かばなかったんですっ!T
そんなに強調しなくても…
B
しかたがないから、とりあえず美大に進学しました。
<テンペラ画に救われた私>T
美大を出てすぐにテンペラ画家になったの?
B
美大では油絵専攻でした。卒業して最初は美術系の出版社に就職したんです。その出版社、滅茶苦茶ヒマだったの。由緒ある会社だったんだけど、どうやら昔の財産を切り崩して給料を払っていたみたいなのね。
T
給料は?
B
これがよかったんです。ヘンな会社でしょう?
T
楽して給料もらえたらいいんじゃないの?
B
でもやりがいがね…
ところで、この会社の社長が変わった人だったんです。後先考えない気まぐれ屋というのかな…会社で一番優秀な社員をリストラしちゃったんです。
その後、次々と社員をリストラしていって、結局10人いた社員が3人になっちゃったの。T
ブラウニーさんはリストラされなかったの?
B
なぜか気に入られてたみたい。食事の誘いとかぜんぶ断ってましたけどね。
でも働いているっていう実感がなかったから、通勤電車の中でいきなり涙がポロポロでてきたこともあったわ。
T
ふ〜ん。給料もらえればいいってもんでもないのね。
B
で、ある時、もういやだ〜って思って、発作的に『あたし、辞めます』…って、辞表をたたきつけました。社長はきょとんとしてましたね。で、それが社長を見た最後でした。
T
えっ、それってどういうこと?
B
その会社、 しばらくして他社に吸収されちゃったんです。出版していた雑誌だけ存続させるカタチで。社長、いいえ元社長はしばらく以前のオフィスに独り通って、仕事もないのにボーッと過ごしてたらしいんだけど。
ある日、オフィスのデスクで死んでたんですよ。T
まあ怖い…
ブラウニーさん、今日は怖い話どうもありがとうございました。
B
どういたしまして。

T
あ、テンペラ画の話をきくのを忘れてた。
B
私もテンペラ画の話をするのを忘れてたわ。
実家が浅草で神社仏閣が身近だったからかなあ…天使やマリア様の宗教画に魅力を感じたんですよ。それで天使やマリア様の絵が何で描かれているのかと思ったら、それがテンペラ画だったの。それで会社勤めが消化不良だったこともあって、週に一回テンペラ画を習いにいってたの。
会社を辞めたときに失業保険をもらって、1ヶ月ほどイタリア旅行して、宗教画を見てまわったの。金箔をふんだんに使った神々しい絵画、今も目に焼き付いてますよ。テンペラ画最高って思って。それで日本に帰ってきてからは水彩画の講師をやりながら、テンペラ画を描いてるんです。
<女流テンペラ画家として>T
テンペラ画の魅力は?
B
すごく素朴なんですよ。風化した感じっていうのかな、もともとが石などを砕いて顔料にしているから、自然のものなのよね。優しいっていうか、味わいがあるっていうか。日本画にも近いと思いますよ。日本人にもあってると思います。

T
テンペラ画って、金箔とか使ってあって高そう〜。実際はどうなんでしょう?
B
道具がマニアックっていうか、売ってないんですよね。箔板とか箔ナイフとか、やたらと高いですよ。あと、瑪瑙(めのう)棒(=金箔を磨くための瑪瑙が先についた棒)とか。
だけど何がいちばん高いって、私の場合、額縁が高価なんです。モノによっては額縁だけで何万円もするから、売れても赤字だったり… あんまり高いんで頭にきて額縁ばっかり手作りしたこともあったわ。試行錯誤して作ってたから失敗の連続で…
1ヶ月間、額縁だけを作り続けていたこともあります。で、額縁4枚完成しました。
その間、絵を描くヒマはありませんでしたね。T
現代美術界の末端、いや一端を垣間見た気がします。B
・・・・・・・・・・・・・
T
最後に、ブラウニーさんの将来の夢は?
B
今、個人のアトリエ兼教室を計画中なの。いまめぼしいところを見つけたんだけどね。築30年のマンションなんだけどね、メチャクチャボロボロなの。会社に勤めていたときに、いつか役に立つだろうと思ってお金を貯めてたのが、やっと役にたつわ。
子供たちがアートに触れられる場って少なすぎるでしょ。手を動かして何かを作る機会も少ないし。クリックして…というヴァーチャルな場はたくさんあるけどね。
T
どーもありがとうございました!
FMファビュラス 笑いで女を磨くコメディサイト
http://www.fm-fab.com/